陰陽(教)師
「こっちもだ!」

嵩史が指した所を見るとそこでも法輪が虫怪たちに喰いつかれていた。

それにつられるかのように、他の法輪も次々に喰いつかれ、回転を止められ、捕まっていった。

そしてついに、すべての法輪が虫怪に捕まった。

「どうするの、先生!」

鈴子の叫びを聞き、晴明は印を結び変えた。

両手を合わせ、人差し指と小指を立てる。

「ナウマク サマンダ バザラダン カン」

そう唱えると、七つの法輪すべてが一斉に炎に包まれた。

その炎は虫怪たちに瞬く間に燃え移り、次々と焼き尽くしていった。

虫怪の群れが炎に包まれる様は、まるで雲が燃え盛っている様に見えた。

その火の粉は嵩史と鈴子の頭上にも降り注いだ。

「わぁ!」

「きゃあ!」

二人は叫びながら身を伏せたが、体には火傷ひとつ負わなかった。

それどころか、畳にも焦げ目はつかなかった。

「不動明王の火界呪だ。余計なものは燃やさないから安心しろ」

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