狐に嫁入り!?
ウタクは長い銀髪を赤い紐で結い、ゆるくひとまとめにした。
それから羽織を手にとり身なりを整えた。
「ウタク、どこか行くの?」
「仕事だ。なんだ、寂しいのか?」
「さ、寂しくなんか!仕事、頑張って稼いできて!」
「俺の仕事に稼ぐも稼がんもないだろう、馬鹿が」
馬鹿は余計だと思う。
人がせっかく気持ちよく見送ってあげてるのに。
「あ、でもウタク、私達いつ結婚式挙げるの?しかも願いは!?いつ叶えてくれるのよ!」
「婚姻の儀は今夜行う。願いを叶えるのは明日の朝で充分間に合う。
それと俺が仕事中は皐月が付く。しっかり可愛がってもらえよ」
ウタクは意地悪な笑みを浮かべて部屋を出て行った。