狐に嫁入り!?
ウタクが部屋を出てすぐ、皐月さんが現れた。
「お帰りにならなかったのですね」
皐月さんの顔色からは何の心境も窺えず、ただ私がいるということを把握するために言葉を発したように見えた。
「私は願いを叶えてもらうまで帰りません」
「……ゴキブリの精神もお持ちのようで尊敬致します」
「貧乏人は粘り強いですから!」
「しぶとい、と言いたかったのですが……粘り強いとは、いい解釈ですね」
傍から見れば私と皐月さんの間には静かな火花が散っていることだろう。
私に嫉妬してるのか知らないけど……いちいち突っかかるのをやめてほしい!