狐に嫁入り!?


しばらく私達の視線は絡み合ったままだったが、先に皐月さんが視線を逸らして頭を下げた。


「ではその粘り強さを、ぜひとも生かしていただきたいと思います」

「な、何させる気ですか?」

「大したことありませんよ。この屋敷全体を知っていただくために大切なことです」


広大な屋敷全体のことを知るため?

顔を上げた皐月さんの取って付けたような笑顔に何か裏がありそうで、私は怖くなった。


「着替えを用意致しましたので、こちらにお着替えいただき、終わりましたら部屋から出てきてください」


渡された服は白い甚平のような和装。

今は人間界から来た制服のままでこの世界じゃ浮いていた。

てっきりウタクや皐月さんとお揃いの白い着物を渡されると思っていたんだけど……?
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