狐に嫁入り!?


「坊ちゃまと湿っぽくならないよう、気を遣ってくださったのですよね」


ヤマジも私と同じように思っていたみたい。


狐と狸……なんだかんだでお互いを分かり合ってるんだ。

だからこそ、言い合いながらも尊敬し合ってるから、シコリを残さないように、疎遠にならないように。

ウタクなりに考えたんだ。


「なんのことだ?俺は遊び慣れた玩具を弄ったに過ぎんぞ」

「……では、そういうことにしておきましょう」


しれっと言うウタクにヤマジは淡い笑みを零した。


「そう、実雨様にもお礼を申し上げたい」

「私に?」

「えぇ……坊ちゃまはこの度の件で随分大人になりました」

「大人……ですか?」


人間を好きになれた、とは言っていたけど……それは大人になった証拠?

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