悪い女-side廉-
「ねぇ、れんくんって一人暮らしなんでしょ?」
「ん、そう☆」
機嫌を直したのか雪乃ちゃんの声のトーンは甘い響きに戻っていた。
「行ってもいい?」
桜色の小さな唇が魅力的に曲がる。
「んー、嬉しいけど駄目」
「えー、なんでぇ」
なんで、って
「女は入れない」
これは本当。
「それってみんな?」
「うん。汚くて幻滅するから」
これはウソ。
「掃除するよ」
「うっそ、嬉しー」
駄目、というより嫌なだけだから、きっと雪乃ちゃんが俺の部屋に来る事はないだろうけど。