悪い女-side廉-

「ねぇ、れんくんって一人暮らしなんでしょ?」

「ん、そう☆」

機嫌を直したのか雪乃ちゃんの声のトーンは甘い響きに戻っていた。


「行ってもいい?」


桜色の小さな唇が魅力的に曲がる。


「んー、嬉しいけど駄目」

「えー、なんでぇ」


なんで、って


「女は入れない」


これは本当。


「それってみんな?」

「うん。汚くて幻滅するから」


これはウソ。


「掃除するよ」

「うっそ、嬉しー」



駄目、というより嫌なだけだから、きっと雪乃ちゃんが俺の部屋に来る事はないだろうけど。


< 19 / 33 >

この作品をシェア

pagetop