悠久の島
潮の香りは過去を思い出す

ぼくが少女と出会ったのは

ちょうど風が吹いていて晴れ晴れしていた日の事だった

気づけば小さな島の上に立っていた

ぼくは何も分からないまま 立っていた

気づけば少女も目の前に立っていた

少女はぼくのそばに来た

優しい目をした少女だとぼくは思った

「迷子なの?あたしも迷子なの・・・」

今にも泣き出しそうな少女は ぼくを見て迷子だと思ったのだろう

ぼくは迷子になったつもりもなければ 迷子になったという確信もない

なのに少女は ぼくに一生懸命迷子であることを伝えてきた

不思議とぼくも迷子になっていたのだろうと 考えてしまった

「迷子でも大丈夫、あたしがいるから平気だよ。」

どうしてだか分からないけど 安心感をここで覚えた気がした

少女はぼくに平気だからねと何度も何度も励ましてくれた

その時 ぼくも不安であることに気づいて急に泣いてしまった

少女はぼくを抱きしめてくれた

「寂しくないよ、大丈夫だよ、あたしが着いてるから。」

抱きしめられている間 とても暖かかった

ものすごく深いぬくもりの中に居るのだと

その島はぼくが今飛んでいるちょうど真下あたりにある

懐かしさと暖かさをまた思い出した
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