世界の果てに - 百年の光 -

ーーー……‥‥


「ーーーーーっ、離してってば!」


両手首を背後で縛られ、腕を引っ張られながらも、あたしは懸命に抵抗を試みていた。


けれど、目の前を闊歩する国王は、牢を出てから一度もあたしを見ようとはしていない。




……ほんの数分前、牢屋からなんとか出ようと足掻いていたあたしとフィオの前に現れたのは、他でもない国王ーーージェイルだった。


国王の引き連れた兵士にフィオは取り押さえられ、その間に暴れるあたしは連れ出されてしまった。


昨夜のオーガの作戦だと、本格的な式典が始まるのは夕方からで、それまで"神の祭壇"には連れていかれないだろうって思ってたけど…


「………っ」


フィオが言ってた。あたしたちが閉じ込められていた牢屋は、"神の祭壇"の地下牢だって。


なら、あたしがこれから連れていかれる先には、"神の祭壇"しかない。


「離してっ…!どうして、生け贄なんて選ぶの!?」


国王はあたしの腕の自由は奪ったけど、口の自由は奪わなかった。だから、さっきから何とか話を聞いてもらおうとしてるんだけど…失敗に終わっている。


そもそも、説得に応じるくらいなら初めから生け贄を選ぶ方法なんかとらなかったはずだけど。


「…異世界の人間なら、どうなってもいいっていうの?」


叫び続けて掠れた声で、目の前の背中に問い掛けた。


答えは返って来ないけど…いいわけ、ない。誰かの犠牲の上に成り立つ世界なんて、すぐに壊れる。


何より、あたしが諦めたら、今まで犠牲になった人たち…ティアラの想いは、どうなるの?

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