もう一度、隣に。


みんなといるときに会うと思っていたのにいきなり2人きりなんて。


あたしは動揺していて、あんな一言二言の会話なのに永遠にも感じられた。


「はぁ~…」


もう何度目だがわからないため息が出る。


ずっと分かっていた。

彼に会ってしまえば、少しずつ薄まっていく好きという気持ちも簡単に引き戻されるだろうって。

そしてそれが今現実に起きていることも。


「寒い…。」


だんだん酔いも覚め、冷静になってきて寒さを感じる。

戻ろうか迷っていたら、

「寒くねーの?」

と泰ちゃんが戻ってきた。

続けて、

「椎香さ、悩みとかあったら相談しろよ?」

「え…?」

「俺の連絡先知ってる?」
連絡先…

「…消しちゃった。」

苦笑いの泰ちゃんは、

「まじかよ。ショック。」
と言うとどうじに、あたしに携帯貸してと言っていじりだした。

「登録したからね。
何かあったら相談しろよ!」

一緒に戻ろうとあたしの手を引っ張る。


ドキドキした──。
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