もう一度、隣に。
同窓会の2日後、大学の卒業を前にサークルの飲み会。
『何か最近飲んでばっかり…』
心の中でつぶやきながら飲んでいると、
「椎香さん聞いてくださいよ!」
と2つ下の後輩が飛んできた。
「ハル、どうしたの?」
「あのねー宏樹が!」
宏樹というのはハルの彼氏。
ハルは必死に宏樹の文句を言っている。
そんなハルの様子を宏樹は穏やかな顔で見つめている。
「ねぇ、ハル。好きな人に好きって言うのって難しいよね。」
あたしはふとこんなことを聞いていた。
もちろんハルはきょとんとしたけど、すぐに真剣な顔で答えてくれた。
「難しい…ですよ。時間があけばあくほど好きだなんて言えないですし。
でも、本当に好きなら、追い込まれたときに勢いまかせでも言えちゃうと思いますけどね!」
「うん…そうだね。」
勢いまかせなんて今のあたしに出来るのだろうか─?