もう一度、隣に。


そして結局、お互いが避けて気まずいままに、卒業の日を迎えた。


みんなで泣きながら卒業を惜しんで、たくさん写真も撮って、卒業アルバムにメッセージを書いてもらった。

あたしは長い廊下に立ち、周りのざわつく声を聞いていた。

『もうこんな空気も最後か。』

目をつぶり、そんなことを考える。

あたしの高校生活の半分は泰ちゃんと一緒にいた。


楽しかった。
本当に楽しかった。


でも、あたしはこのとき決めたんだ。


もう
会わない、話さない、忘れるって。


それなのに。


「椎香ー!」


遠くからあたしを呼ぶ叫び声が聞こえた。

< 17 / 27 >

この作品をシェア

pagetop