もう一度、隣に。
そして結局、お互いが避けて気まずいままに、卒業の日を迎えた。
みんなで泣きながら卒業を惜しんで、たくさん写真も撮って、卒業アルバムにメッセージを書いてもらった。
あたしは長い廊下に立ち、周りのざわつく声を聞いていた。
『もうこんな空気も最後か。』
目をつぶり、そんなことを考える。
あたしの高校生活の半分は泰ちゃんと一緒にいた。
楽しかった。
本当に楽しかった。
でも、あたしはこのとき決めたんだ。
もう
会わない、話さない、忘れるって。
それなのに。
「椎香ー!」
遠くからあたしを呼ぶ叫び声が聞こえた。