王子様じゃナイト!
「あ、あれだよ!わたしの家!」

「へぇ、昔の家と似たつくりだな…」

その言葉によく覚えているな、と感心する。


「うん。母さんがどうしてもこんな家がいい、って言って…凌也は引越ししたりした?」

「いや、昔と同じ場所に住んでる」

「そっか!じゃあ遊びに来るね!」

「ま、まぁいいぜ……」


家の前で自転車から下ろしてもらった。でも、視線は全然合わせてくれない。

「じゃあ、また明日!」

「おう……」


ぎごちない返事を返すと、凌也は自転車に乗って消えた。

「どうしたんだろ……」

お腹でも痛くなったのかな、と場違いな予想をしてドアを開けた。

この一部始終を、一つの影が見ていたことなど、わたしは知るよしもなかった…。



< 22 / 24 >

この作品をシェア

pagetop