秘密
SIDE.今野珠子
悠平に一人で行こうという勇気はなかったし、何よりも一人で行けば不自然だろうと思った。
事情を知る珠子なら、どうにか首を縦に振ってくれるだろうと甘えてしまう。
「結婚式、って、先生の?」
「……うん」
何という複雑な顔をするのだろう。珠子は思った。
嬉しいのか哀しいのか、憂いを帯びたはにかむ顔は、酷く切ない。
ああ、先生のことが好きで堪らないんだ。
「……いいよ。でもいつあるかは分からないんだよね」
「ああ……聞きそびれた」
「……」
それならばまた聞きに行けば良いのに、珠子はそう思ったが、黙っておいた。
「珠子、珠子!」
二人がちょうど弁当を食べ終えようとした頃だった。教室の中に美百合の声が響く。珠子がその方向を見ると、美百合がドアの側で手招いている。
何だろうと思いながら席を立ち、ゆっくりと近付いた。