秘密
SIDE.雨宮好美
婚約者の聡本人と、こうして話している時だけは、好美も悠平のことを気にかけることもなく平常心でいられた。
しかしそれは、聡の何気ない一言で崩れ去ってしまったりする。
「それなら先生達は問題なしか。夏休みが明けたら、今度は生徒達が寂しがるだろうな。好美も若いながらに慕われているだろうから」
「……、そうかしら。寂しいけど決定事項だから仕方がないわね」
生徒達と聞いて浮かぶのは、やはり悠平だった。悠平は好美が結婚を控えていることも、妊娠していることも承知している。
「夏が来れば帰宅すると好美が部屋にいるのか、慣れないからくすぐったいな」
嬉しそうに聡が笑った。
ほら、こんなに愛を感じる。
重いだなんて思わない、胸がドキドキとして、それでいて嬉しくなる。
愛を感じることでそれを重い、鬱陶しいと思うようになった時、同時に私は聡を邪魔だと思うようになるのだろうか。
酷く恐ろしいことを考えてしまった。