秘密
SIDE.今野珠子
「あーあっ」
自棄になったような、悠平の声が部屋に響いた。悠平は、ベッドにもたれ掛かりながら盛大な溜め息を吐いた。
珠子は、困ったように視線を宙に泳がせている。
「もうやめよっかな」
ぽつりと呟いた悠平は、布団に顔を埋めていた。その声は籠っている。
「何を、やめるの?」
「……、先生を、追いかけるの」
そう言った門田君の表情は全く読み取れなかった。
彼は布団に顔を埋めていたし、私もそれを伺うようなことをしてはいけないと思ったからだ。
門田君の想いが、いかに純粋で綺麗なものかを知っているから。
私が、それに対して何かを思うこと自体までもが、凄く汚らわしいものに思えてしまうほど。それは綺麗なものなのだ。
「先生が、教師じゃなければ良かった」
「……」
「そうすれば、先生は俺のもの」
「……」
「だったよ、な?」
門田君が、泣いている気がしたのは、気のせいだ。