秘密
SIDE.門田悠平
タマの匂いは、先生とは違う。
そんな当然の事実が俺を嬉しくさせて、酷く長い時間抱き締めていた。
擦り寄ってくるタマが、可愛かった。
「……タマ」
「……」
「タマ?」
「えっ、な、何?」
ああ、眠ってしまったのかと思った。悠平がそんな風に思いながら珠子の頭を撫でると、珠子はこの上なく気持ち良さそうにしていた。
午後の授業は、もちろん多大な眠気に襲われるのだろう。
「ご、ごめん」
「いや?タマも俺のことが大好きなんだなあと思って」
「!!」
悠平がそうからかえば、珠子は顔を真っ赤にして悠平から離れた。悠平は少し名残惜しいように思われた。
珠子の方はどうやら図星だったらしい。予想外の反応に、悠平は機嫌が良くなった。
先生のことは、できる限りあまり考えないようにしよう。タマのことを中心に動けるように、タマを喜ばせることができるようになろう。
悠平は慌てて教室に戻ろうとする珠子を追いかけながら、そんな風に思った。