秘密
SIDE.今野珠子
本当に、それは信じられないほどの不意打ちだった。珠子は、悠平の存在を感じる背中に全神経を集中させた。
タマも俺のことが大好きなんだなあと思って、と門田君は言った。
タマも、ってどういう意味?
門田君が雨宮先生を想うように。
門田君はあたしのことをそう想うようになったように。
どっちなのだろう。
あたしにこの答えは解らない。
珠子は、最終的には悠平と肩を並べて教室に戻り、午後の授業を受けた。
いつも決まって午後に襲ってくる睡魔は本当に質が悪い。絶対に勝てやしないのだ。
「……」
珠子は無言で右斜め前の席の悠平を見つめる。こんな授業は早く終わってしまえば良いのに、珠子は溜め息を吐いた。
消しゴムを手のひらの中で遊ばせながら思う。
一緒にいる時間が増える度に、自分が門田君を好きになってゆくのが分かる。
その分、門田君の想いがもっと自分の方に向けられたらと思う。
前よりも貪欲になってきていることを実感する。きっと門田君がああして抱き締めてくれるからだろう。
右斜め前の席の悠平は、既に机に突っ伏している。