秘密
SIDE.雨宮好美
門田君の雰囲気がいつもと違うなと思ったのは、私がこの宿直室へ入って声を掛けた時だろう。
いつもはもっと、子どもらしい、そんな雰囲気だから。
それまで感慨に耽っていた悠平を知らない好美には、酷く悠平が大人びて見えた。
「どうしたの?……今日はあまり話さないのね」
「そう?そうでもないよ」
「……そう」
焦っている自分が少し恥ずかしくなり、好美は慌てて視線を落とした。
今の悠平を見ていると、自分の意思がなくなりそうな、おかしな錯覚を起こしてしまいそうだからだ。
「……」
「先生」
「なに?」
低い声で呼ばれた。
好美は変わらず視線を逸らしたまま、繋がる言葉に怯えていた。
「壊れる」時期が、来てしまったのかもしれない。
「先生の結婚式に、俺も教え子として、出席して良いかな」
「え……?」
「もしかして生徒は行けない?」
ほら。
今までが、「壊れる」時期が来たのだ。