秘密
 

SIDE.門田悠平
 



 
「もし行っても良いなら、タマも連れて行こうと思って」
 

 
全く意地が悪いなと、自覚はあった。
悠平の前で好美は目を見開き、とても驚いて何の言葉も出てこないようだ。
 

先生は、もう自分の幸せだけを考えていれば良いんだ。
俺が先生を慕うのは、二の次三の次だ。
 

もう、秘密は終わり。
 

 
「結婚式?」
 

「うん。するだろう?いつするかは知らないけど、教えてよ。生徒の代表として祝いに行くからさ」
 

 
どこまでも意地悪く、悠平は好美に笑ってみせた。
 

俺はこれから、先生よりもタマのことを沢山好きになって、これからはタマと過ごすんだ。
先生が、愛する旦那と過ごすように。
 

窓から西日の橙色が差し込んでいる。宿直室は橙色に染まった。
好美は一体何を考えているのだろうか、俯いたまま黙ってしまっている。
 

 
「先生、こっち見てよ」
 

「……」
 

「もうわがままは言わないから。……最後にするから、お願い」
 

 
好美の肩は震えていた。
 

 
< 94 / 114 >

この作品をシェア

pagetop