秘密
 

SIDE.雨宮好美
 



 
恐らくもう二度と触れることのない悠平の胸に、好美はぐいと体を押し付けた。
自分が恋をしたこの男のぬくもりを、決して忘れないように、忘れてもきっと思い出せるように、好美は悠平を抱き締めた。
 

 
「門田君、門田君」
 

「先生、泣くなって。先生はこれから、本当に好きな人と幸せになるんだろう」
 

 
悠平の声があまりに優しいので、暫くは離れられそうもなかったし、離れたくもなかった。
 

 
「馬鹿だな、先生は」
 

「……」
 

「俺よりも大人で、周りの世界はうんと広いのに……。俺なんて学校がすべてだ。学校が世界なんだよ。先生は俺といて良いはずがない」
 

 
それでも、学校の世界では門田君が一番だと思うのは、私が変なのかしら?
そんなことないわよね、私が恋をした相手だもの。
 

 
「だから先生、もうやめるんだ」
 

「……最後なの?」
 

「ああ」
 

「もう、会えないのね?」
 

「ああ。……会わない」
 

「門田君、」
 

 
最後にキスを、と、好美は顔を上げた。
 


 
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