秘密
SIDE.門田悠平
戻りたい、戻るな、戻りたい……。
そんな心の葛藤を紛らわすように、悠平は走っていた。下足場へ向かって早々に靴を履き替えると、前のめりになりながら学校を出た。
一刻も早く、できる限り、少しでも遠くへ離れなくては。悠平は走った。
「っ……」
暫く走ると、涙腺が決壊していることに気が付いた。慌てて拭うと、再び走り出したが胸が苦しくなった。
悠平は立ち止まり、人気のない脇道へ入り込んでしゃがみ込んだ。
もう、会えない、会わない。
もう二度と、手に入らない。
望んではいけない。
いろいろな想いが溢れ過ぎて、ただ泣いていた。珠子なら受け入れてくれるだろうと思ったが、今の悠平は誰にも会いたくなかった。