電話越しの君へ
帰りのHRが終わって私は帰る仕度をする。
杉本をちらっと見るが、もちろん目は合わないまま。
………帰ろ。
カバンを持って私は教室を後にした。
だだっ広い校庭を横切りながら、私はそっとケータイを取り出す。
あれから増えてない着信履歴。
もし今私がかけたら、彼は出てくれるのだろうか?
そっと電話帳のサ行のところまでボタンを進める。
……今さら声を聞きたいだなんて、都合良すぎる…よ、ね。
ひとつため息をつき、ケータイを閉じようとした。
そのときだった。
「………綾瀬っ…!!!」
「え………?」
呼ばれた方を振り向くと、突如目の前に現れた黒い影。
途端、息を呑んで条件反射で目を閉じる。
しかし私に当たるはずだったそれは、
ドンッという音と共に、私をかばうように現れた彼に当たって跳ね返った。