電話越しの君へ
ほんの少し、照れ臭い。
まさか自分からこんな面倒臭いことを提案してるなんて。
「見ててやるから勉強しろよ。分かんないとこも教えるから」
真剣に言ったのに綾瀬は
まだ呆然としたまま「なんで?」なんて聞いてくる。
………。
恥ずいんだから言わせんなよ。
「頑張ってほしいんだよ」
綾瀬から視線を外して、出来るだけそれとなく言う。
ほんの少し泣きそうな顔をした綾瀬を、俺は見て見ぬフリをした。
***
1時間も経つと、さすがにヘタってくんのかと思いきや、意外にも綾瀬は頑張っていた。
たまに俺に質問しては一生懸命、物理を解いてる。
――そんな一生懸命な綾瀬、好きだよ。
電話で言えても、面と向かってはさすがに言えるはずもなく。
静かに綾瀬を見て俺は微笑んだ。