電話越しの君へ
「これで6組にはギリギリ食い込めそうか?」
公民館を出たあと、近くの公園で綾瀬は単語帳をめくってる。
「…どうだろ。やっぱ今までやってなかった分が多すぎて」
「…だよな」
軽く苦笑しながら俺はコーヒーをすする。
今の綾瀬は微妙なとこだ。6組と7組、どちらに傾いてもおかしくはない。
ふと、綾瀬は何かを思いついたように俺を振り向いた。
「あ、そうだ杉本。
ヤマ、かけてくんない?」
「……は?」
ヤマかけ?
彼女をみると、まるでとてつもない名案を思いついたかのように瞳をキラキラさせている。
変な理由をつけられ、数冊の教科書を押し付けられた。
――…そして、俺は魔が差した。