電話越しの君へ
「…あ、そーいや今日は恋バナしなかったね」
思わず苦笑する。
「お前切羽詰まってたしな」
すると意を決したように綾瀬はぽつりと言った。
「ねぇ、きっと杉本なら大丈夫だよ」
その台詞に顔をあげる。
綾瀬はほんの少し俯いていて表情は読めない。
「杉本なら、きっともうその子と両想いだよ。だってただの友達の私にもなんだかんだでこんなにイイ奴だもん」
……ただの、友達なんかじゃねぇよ。
俺にとっては、いつだって世界一大切な女の子だ。
お前にとっても、俺はそーゆー存在なんじゃないのか?
「……応援、するから」
顔を上げた綾瀬は
ほんの少し上擦った声で言った。
ああ、俺は。
こいつにこんな顔させたいわけじゃないのに。
今、好きだと言ってしまえれば。
ただ純粋に同じクラスになりたいんだと、そう、言えたら。
こいつはこんな辛そうな表情、しないんだろうな。
「ああ……さんきゅ」
だが言葉は頭とは裏腹に
返事を返してしまっている。
……意気地ねぇな、俺。
泣きそうな綾瀬の顔から逃げたくて、それを隠すように綾瀬の頭を軽く撫でる。
すると、そうしただけで
本当に幸せそうに綾瀬は微笑む。
…――ああ、好きだな。
俺、やっぱ綾瀬がすげぇ好きだ。
ちゃんと言わねぇと。
俺の、この嘘も全部。