空白の時間=友情>愛情

高揚

「ありますよ」

翼はあっけらかんとして即答した。



「何でそう思うんだ?」

「えっ、だって…」

翼はしばらく考え込んでいたが、重い口を開いた。



「先生と兄は親友だったんですよね?」

「そうだよ」

「兄が行方不明になった直前まで一緒に居たんですよね?」

「ふたりで海に行った後、お兄さんは居なくなった」

「兄は先生に何か言いませんでしたか?」

「何も…いつも通り変わった様子はなかったよ」

翼はまた長い沈黙のあと…

「先生、誰にも言わないって約束してくれますか?」

「ああ、わかった」

翼は何か秘密を知っているのか?

オレの胸は高ぶった。



再び翼は黙ってしまい、オレはただ翼が話してくれるのを待つしかなかった。

あたりは夕闇が迫っていた―。
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