空白の時間=友情>愛情

死亡

隆一氏はさらに続けた。

「広田先生は失踪宣告という制度をご存知でしょうか?」

「いいえ」

「つまり、父の死に伴って相続の問題が発生します。本来なら賢二も相続権を持っています」

「はぁ…」

「ご存知のように、賢二が行方不明となって10年以上経過しています。法律では、所在や生死が不明な状態が7年間継続すると死亡したとみなされる制度があるんです」

「なるほど…」

「ですから、我々としましては…このタイミングで賢二の失踪宣告の手続きを取りたいと考えています」

「はい」

「私も賢二は生きていてほしいと願っていますが、致し方ないかと…。賢二の親友だったあなたにはお伝えしておこうと思いまして…」



オレは隆一氏の言葉をどこか遠くに聞いていた。
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