俺だけのお姫様
「幸平、ありがとう!また助けられちゃったね」
屈託の無い、俺だけに向けられた笑顔。
俺にとっては、他の何よりも価値があるご褒美だ。
「気にすんな。だって俺たち‥‥」
“幼なじみだろ。”
言おうと口を開いたが、慌てて止めた。
分かりきってることなのに、どこかに信じたくない自分がいた。
もし、言ってしまったら。
現実を、突きつけられたら。
辛くなるのは分かっていた。
だから‥‥言わないことにしている。