嘘から始まる恋
「捻挫?」
保健室から出てきた俺に理子は不安そうに聞いてきた。
「骨折」
その時、どうして"骨折"なんて言ったのか自分でも分からなかったけど、これしか接近する方法が思いつかなかった。
「足が治るまで言いなり」なんて、本当はどうでも良かった。
理子が振られたことや理子に怪我させられたことも、誰かにばらす気なんて全くなかった。
だけど理子があんまり必死に頼むから可愛くてつい意地悪したくなった。
「キスしてよ」
どうせしないだろう…と思いながら適当に言った交換条件。
「いいよ」
一瞬、自分の耳を疑った。
はっ?
こいつ何て言った?
いいよって言ったよな?
軽くだけど理子はキスをしてくれた。
本当は内心、すっげードキドキしてた。
そこから俺は自分の気持ちを止めることが出来なくなった。