嘘から始まる恋



「純ちゃんも彼氏の裕也くんもいいコね〜。ちゃんとお礼言うのよ」


あんた爆睡してたんだから、と呆れたように溜め息を吐かれる。



「はーい…」


それぐらい分かってるもん。


ピピピッと体温計が鳴る。



「何度?」


「37度8分…」


昼間より上がってんじゃん。


ていうかお腹空いた。



「お母さん、お腹空いた」


「も〜、食い意地だけは張ってるんだからー。お粥作ってくるから、薬飲んで寝なさい」


「はーい…」


お母さんが部屋を出て行くと、また布団に埋まる。



今、何時だろ…。


そう思って携帯を見ると夜の20時だった。


私、何時間寝てんだ…。



それより何か忘れてるような気がする。


なんだっけ?



しんどくて考えるのも億劫になってきた。



そんなこんなで三日が過ぎた。


熱も下がり、体が楽になってきた。



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