嘘から始まる恋

キスする意味




「…早っ」


「おはようございます」


青空が晴れ渡る中、若干呆れ顔の成瀬くんに頭を下げて挨拶をする。



私はいつもより更に早起きして成瀬くん家に迎えに行った。


もちろん成瀬くんが家から出てくるより先に着いた。



「大丈夫なの?」


「何が?」


首を傾げる私に成瀬くんは溜め息をついた。


「風邪だよ、風邪」


「あ、うん…って何で知ってるの!?」


ここんとこ会ってなかったし、風邪引いた日も成瀬くん忘れて帰ったのに。



「裕也におんぶされてるお前見て、事情聞いたんだよ」


「なるほど…。裕也くんと友達だもんね」


そっか、そっか。


うんうんと頷いていると、成瀬くんに額を触られる。



< 62 / 275 >

この作品をシェア

pagetop