冬恋。

お泊まり会

「あぁもう、川の水独特の匂いが……」

ブツブツ呟きながらシャワーを浴び、10分ぐらいで早目にお風呂を出て部屋に戻る。

「早かったね」
「うん」

部屋に戻ると海さんは携帯をいじっていた。
……彼女、かな。

「彼女さんとメールですか?」
「え?!ないない」

そう言ってパチンと携帯をとじる。
彼女いないんだ……、モテそうなのになぁ。

「ゆあ」

タオルで髪を拭いているといきなり海さんが話しかけてくる。

「はい?」
「ドライヤーある?」

何でドライヤー? 海さんが使うのかな。

「海さん、ドライヤー使うんですか?」
「なんで僕が。ゆあの髪を乾かすんだよ」

当たり前のように言う海さん。

どうして海さんって、こんなに優しいんだろう。
私と妹さんが同級生だから……かな。

「姉の部屋から持ってきますね」

そう言って部屋を出る。
私の部屋にはドライヤーがないから、姉の部屋に取りにいかないといけない。

何とも面倒くさい……。

姉は出かけてるはずだから、ノックなしで部屋に入る。

「ドライヤー何処だろ……」

ドライヤーを探していると姉の机にあったプリクラが目にとまる。

姉と……、彼氏??これはいわゆるキスプリってやつですかね……。

見なかったことにして、ドライヤーを再び探し自分の部屋に戻った。

「海さん、ドライヤー持ってきたんですけど本当に乾かしてもらっていいんですか……?」
「いいよ、七海くるまで何もやることないし」

あぁ、そういうことか……。
ただやることがなかったわけか。

「じゃあ、お願いします」
「ん」

海さんはそれだけ言うと、私の髪を乾かしていく。
人に髪乾かしてもらったのいつぶりだろう……、なんだか懐かしい気がした。

「海さん、髪乾かすの上手いですね」
「妹の髪、つい最近まで乾かしてたのもあるなぁ、七海が少し前に髪切ってから僕は出番なくなったけどね」

苦笑しながら言う海さん。
妹思いのいい兄なんだなって思った。

「はい、終わり」

そう言ってカチっとドライヤーの電源を切った。

「ありがとうございます~」
「僕も久しぶりに妹の世話したみたいで楽しかったし」

海さんにつられてあたしも笑顔になる。

その時、玄関のチャイムがなった。

「七海ちゃんかな……?」
「そうかもね」

私と海さんで玄関に行くと、七海ちゃんとラナがいた。

「なんとか迷わずに来れた……、はい。ゆあちゃん」

リードを私に渡しながら言う。

「ありがとう!」

ラナをいつもの小屋の前の鎖につないでいると玄関から海さんの悲鳴……というか怒鳴り声聞こえた。

「はぁ!?七海何いってんだよ!」
「えぇ、駄目?」

犬をいつもの鎖に繋げて2人がいる所へ戻る。

「どうしたの?」

私が二人に聞くと七海ちゃんが答える。

「もっとゆあちゃんと話していたいから今日お泊まり会やらない?って」

お泊まり会……?
昔したことあるけど、ここ数年お泊まり会なんてしてないなぁと気づく。

「ゆあもいきなりじゃ困るよね?」
「いや……?そんなことないですよ、海さん」

そう言うと七海ちゃんは一気に嬉しそうな顔になる。

「ゆあちゃん、お泊り会しよう……!!」

返事はもちろん、

「いいよ!じゃ、私の家来る?」
「行く~っ」

なんとも今日会ったばかりの初対面だとは思えない。

「ゆあ、親に迷惑かからない?」

海さんが心配そうに言う。
しかしその心配はない。今日は親遅くまで帰らないって言ってたし。

「今日親いないから大丈夫ですよー」
「そかそか、じゃ僕は家の片付けしてるから七海。ゆあに迷惑かけないでね」

なんか海さん……お父さんみたい。

「分かってるよ、子供じゃないんだから!!」

七海ちゃんが少し頬を膨らまして言う。
ぷくーっみたいな。

「七海、怒るなって……あ、一つ気になることがあるんだけど」
「何ですか?」

少し真面目な顔をして言う。

「ゆあ、料理出来る……?七海お菓子しか作らないから……」

……料理?女の子だけどあんまり料理は得意じゃない。
私も七海ちゃんと同じくお菓子専門だし……。

「少ししか……」

海さんはまじか、とでも言うような顔になる。

「仕方ない。夕飯僕が手伝うよ」
「え……?」

海さん、料理出来るんだ……。かっこいい!

「海さん料理出来るんですかっ!!」

そう言って海さんより七海ちゃんが早く答えた。

「海にぃ、料理だけは得意なんだよ~」

少し自慢気に言う。でも料理が出来る男の人って本当にかっこいいと思う。
東、料理出来るのかな……。と考えてみる。

「じゃ期待してますね海さんッ」
「まかせろ!!」

自信満々に言う。

本当に海さんが料理してくれるのか楽しみ……。
何作ってくれるんだろう??

「海にぃ、料理手伝……」
「いいよ、僕一人で作るから七海はゆあと何かしてなよ」

はっや……、海さん即答。

「いいじゃん海さんに任せて七海ちゃんは私とゲームとかしてよ?」

「だね~、海にぃに任せよっと」

ニコッと笑っていう七海ちゃん。

「じゃあ海さん、夕飯お願いします!!」


「はい、七海。こっちがゆあね」

私の家の台所を使って、海さんは本当に夕飯を作ってくれた。

「ハンバーグだ!!」

海さんは私の家にあるものでハンバーグを作ってくれた。
見るからに美味しそう。よく家の残り物で出来たなーと感心する。

「海さんすごい……」
「だろ?料理ぐらいは出来ないとね」

この時程、本気で料理を勉強しようと思ったことはなかった。
都賀につくってあげたいし……。
なんだかんだ言って、頭の中東でいっぱいかもしれない。

「七海も料理ぐらい作れるようになりなよ。じゃあ僕帰るね」

と、使ったものを片付けながら言う。
そこまでしてくれるなんて、本当助かる……。

「海さん、わざわざありがとうございました!美味しく食べますね!!」
「海にぃありがとう、お泊り楽しむね~」
「楽しんでね、じゃあまた」

片付けをし終えると海さんは帰っていった。
後でお菓子でも作って持って行くかな……。

「冷めない内に食べよーっと。いただきます!」

本当に海さんの料理が美味しかったのは言うまでもない。
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