冬恋。
大好き、です。
縮む距離
「七海ちゃん……!!起きて!」
朝、寝ている七海ちゃんを必死に起こす。
「……おはよう?」
「なんで疑問系なの!?七海ちゃん、学校!!」
状況が読み込めてない様子の七海ちゃん。
そりゃあ引っ越してきた初日に騒ぎまくって疲れた上にお泊り会とかしたから余計……かな。
「えぇ!?い、今何時?!」
一瞬で目が覚めた様子の七海ちゃん。
「今7時20分!!間に合わないッ」
7時30分には家を出ないとまず間に合わない。
月曜日から遅刻とか出来ないし……。
「ゆあちゃん、頑張って……!!」
他人事のように言う。なんでそんなに余裕なんだ……。
「あたし、今日お母さんと10時頃学校行って学校の説明とか聞くんだ。だからのんびり出来るの〜」
さっき思い出した、と言う七海ちゃん。
いいな〜、なんて言ってる暇はなく、無言で着替えたり、髪をとかしたりする。
「お泊り会楽しかった〜、あたしは家に戻るね」
七海ちゃんは、私が家を出ると同時に家に帰っていく。
今の時刻、7時40分。
「うぅ……疲れたぁ……」
遅刻ギリギリで席につく。
「佐倉来るのおせぇ」
「寝坊しました……って……え?」
そう、話しかけてきたのは都賀……。
「都賀?」
「……」
都賀は机にうつ伏せの状態でそれ以上、何も話さなかった。
それから一日、授業中も都賀のことばっかり考えてた。
何で私を彼女にしたんだろう、とか私のこと本当に好きなの?とか……。
彼カノになった途端、お互い遠慮がちになって気まずくなったりする人も多いみたいだけど……。
実際、私達はと言うといつも通りで気まずくなんてならなくて。
朝はあんまり話せなかったけど、お昼休みとか都賀が一人でいる時を狙って話しかけたり。
何か、普通に青春してるなぁって思った部活帰りの時間。
「彼氏っていいよね〜」
なんて、ふと部活仲間の千尋(ココロ)が呟いた。
「ほしいよね、彼氏」
それにつられて莉央も(ナホ)言う。
部活帰りは、いつも私、千尋、莉央の三人で話しながら自転車置き場まで行く。
みんな学校まで自転車で通える距離に家がある。
なんて自分は歩きでも通える距離なんだけどね……。
そんなことは置いておいて……。
今日の会話は何だろ、まさか私達のことバレた……?
「彼氏私もほしいな……」
他人事のように言う。
「だよね!?ゆあもそう思うよね〜、彼氏いない仲間だよ」
うぅ……。
バレてない、と一安千尋するもこれじゃいつになっても実は彼氏います!!なんて言えない……。
「あ、はは……」
思いっきり苦笑い。
それでも千尋と莉央は気づかず、3人で自転車置き場まで行き、それぞれ別の道へ帰っていった。
「みーずかちゃん!」
朝早く、玄関のチャイムが鳴ると同時に七海ちゃんの声がする。。
早いって言っても7時ぐらいだけど……。
「はぁいっ」
いつもより早く学校の支度を済ませ、玄関へと向かう。
「おはよ~」
玄関には、制服をビシっと着こなした七海ちゃんの姿があった。
めっちゃ似合ってるなぁ。
「七海ちゃんおっはよー」
「ねぇねぇ、学校まで自転車で行くの?」
と、興味アリアリで聞いてきた。
「そうだよー、どうして?」
「前に住んでた所、小中関係なしに学校まで歩かなきゃいけないんだよー」
歩き!? だめだ私には耐えられない……。
「歩き!?こっちは小学生までだよー」
「そうなんだ~、あ、早く学校行こう?自転車通とかすっごく楽しそう!!」
相変わらずの七海スマイルかわいい!!
変な男が寄ってこないといいな、よし……七海ちゃんは私が守る!!って私は一体誰だよ!!
「だね、ゆっくり話ながら学校行こ!!」
「うんっ」
「ひとみぃぃぃ、ゆあぁぁいってらっしゃぁぁぁぁい!!」
どこからか海さんの声がした。
その声を聞くと七海ちゃんは呆れたように、「海にぃのばか……」と、ボソっと呟いた。
でも、なぜかフッと笑っていてお兄さん好きなんだなって思ったりもした。
学校に着くと、自転車置き場に莉央の姿があった。
「莉央じゃん、はよー」
「おはよ?その子は?」
莉央の頭にハテナマークが浮かんでいる。
「んと、転入生の植草七海ちゃん」
「七海です、これからよろしくお願いします!」
ペコっとお辞儀をする。
その七海ちゃんの行動を見た菜穂はいつもの調子で、
「莉央です、よろしくね!ゆあ頼りないから分からないことあったら何でもアタシに聞いて!」
「頼りないは余計ですぅ」
「その口調やめてー」
七海ちゃんは私たちの会話を聞いて少し笑う。
というか呆れてるんじゃ……。
「莉央さん……?」
「莉央でいいよー」
莉央……、私と思いっきり態度違う……。
もっとその優しさを私にくれないんですかね?
「えっと、じゃあ……莉央……?ゆあちゃんと仲いいの?」
「ゆあ?んー、まぁ普通って所」
普通!?そこは正直に言ってよ!
というかこれが本音だったらそれはそれで悲しいけど……。
「いや仲いいから!!多分」
「多分?!」
反応に困る七海ちゃん。
「どっちでもいいけど、早く教室行こうよ。みんなに紹介しなきゃ」
結局どっちでもいいのか……。
「そだね、じゃあ行こ!」
「うん!」
それから教室に行くと、七海ちゃんはいつのまにか注目され、
私と莉央の出番はほとんどなかった。
「おはよー」
っとそこに先生登場。その無駄にテンションが高い。
みんなちょっと引き気味……。
「お、植草さん早速馴染んでるね」
「は、はぁ……」
七海ちゃんまで引き気味。だから私なんてドン引き状態。
「えっと、ゆあ。植草さんに色々教えてやって」
「言われなくてもそうしますー」
こんな感じで、いつも以上にうるさい朝が終わった。
ちなみに七海ちゃんの席は私の後ろである。
「改めてよろしく、七海ちゃん」
「うん!」
七海ちゃん転校初日は、授業前の休み時間になるといつのまにか七海ちゃんの周りには人だかり。
これの繰り返しであっという間に一日が過ぎた。
そして部活の時間、テニス部に来てくれるかな?と思ったけど吹奏楽部に入るらしい。
今日はその見学に行くのだとか。ちょっとがっかり。
「ゆあ、七海ちゃんって可愛いよね~」
「だよね!!」
部活の時間、莉央が話しかけてくる。
「素直でいい子、ゆあとは大違い」
素直じゃなくてごめんなさいね……。
「じゃあ、私も七海ちゃんみたく素直になろうかな」
冗談で言うと、莉央は引き気味に
「お願いだからやめて」
と言う。毒舌だよ……!!特に私に対して!!
「……今のゆあが一番いいと思う」
「え?」
小さい声で言っていたからあまりよくは聞こえなかった。
今の私が……?
「聞こえなかったんだけど……」
「なんでもないよ!ほら、さっさとサーブ練習!!」
なぜか怒る莉央。
そして、言うだけ言うと練習に戻っていった。
今日は部活に千尋の姿がないけど何かの集まりなのかな。
「ご苦労様でしたッ」
部活が終わって、下校の時間。
千尋は部活が終わる10分ぐらい前に来た。
「莉央、千尋!一緒に帰ろ?」
「「えぇ」」
息を合わせる莉央と千尋。
なんでこう二人とも私の扱いがひどいの~!?
「だめ……??」
おねだり気味に言ってみる。
「しっかたないな~」
「一緒に行ってあげるよ!」
と、莉央と千尋。
三人で歩いていると、昇降口の方から七海ちゃんの声がする。
「あ、ゆあちゃん莉央ちゃん!……と?」
「吹部も今終わったんだね、この子は千尋だよ。クラス離れてるけどね」
「千尋です。転校生って噂になってたけどこんな可愛い子だったんだ」
笑顔で挨拶する千尋。
その笑顔もっと私にくれよ……!
「可愛いなんてそんな……!!あたしは植草七海です。よろしくね」
相変わらず礼儀正しくていい子だな七海ちゃん。
「七海ちゃん、一緒に行こっ」
「いいの?」
いいに決まってる、と言おうとしたが先に莉央と千尋に
「いいよ!!」
と先を越されてしまった。
「あ、別にゆあと一緒に帰りたいわけじゃないからね?」
……ツンデレ?
いや、ないな。莉央の場合デレがない。
「よっし、帰ろ~」
「ゆあうるさいっ」
「えぇ……」
う、うるさくないもん……!!
「ま、七海ちゃん。ゆあが近所で色々大変だと思うけどがんばってね!!」
と莉央。
「頑張るっ」
なんでそのノリについていくの七海ちゃーん!?
「七海ちゃんいい子ー、よしチャリとばそ!!」
「「おおーっ」」
とても賑やかな帰り道。一人増えただけでもこんなに違うんだね。
七海ちゃん、私たちの学校に来てくれて、ありがとう。
「佐倉ー」
次の日、七海ちゃんと待ち合わせをして学校に行くと都賀からの呼び出し。
ちょっと行ってくる、とひとみちゃんに声かけ都賀の所に行く。
「どした?」
都賀は周りを確認した後、私にコソっと話しかけてくる。
耳がくすぐったいです……。
「大丈夫?」
「いいよ!暇だし」
「分かった、じゃまた」
都賀はそれだけ伝えると、男友達の所へ行った。まだクラスのみんなにはバレてない様子。
私も七海ちゃんの所へ行こうとした時、男子の会話が聞こえた。
「植草さんって、かわいいよな」
「でもさ、彼氏いるんじゃね。俺見たし」
……七海ちゃんに彼氏?
そんな話、聞いたことない。いや、聞いたことないだけで実際はいるっていうことも……。
あんなに可愛いんだし、彼氏ぐらいいても当たり前か。
「高校生ぐらいのさー。帽子がぶってたからよく見えなかったけど」
高校生?帽子?
高校生って言ったら、七海ちゃんのお兄さんの海さんぐらいだよね。
とりあえず私は、七海ちゃんに聞いてみようと思った。
「七海ちゃん?」
言おうとした瞬間、授業始まりのチャイムが鳴る。
タイミング悪い……、後で聞こう。
しかしそれからというもの、移動移動が多く、なかなか彼氏のことを聞くことが出来ない。
移動の時、私と七海ちゃんで行っているから聞けないということはないが……。
タイミングがつかめなく、聞けない。
思い切って正面から聞けばいいのに、後一歩勇気が出ない。
気づいた頃には給食、掃除の時間、下校。
今は下校の時間である。
いつものように、自転車を走らせながら自然に……。
いけ!自分!!
「七海ちゃん」
「なーに?」
「あのさ、彼氏いたりするの??ずっと気になってたんだ」
よく言えた私!! 頑張った……!!
「アタシにかれ……し?!い、いるわけないじゃん!!」
驚いている様子の七海ちゃん。
なぁんだ、いないのか。……って、じゃああの高校生は誰?
いや高校生って決まったわけじゃないけど。
「いないんだ、意外~。でも、クラスの男子が言ってたけど高校生ぐらいの人と歩いてたって」
「高校生……?」
身に覚えのない感じ。
「あ、あぁ!!」
七海ちゃんは何かを思い出したように言う。
「あれ見られてたんだ、恥ずかしい」
「やっぱり彼氏?」
そう言うと、七海ちゃんは首をぶんぶん左右に振る。
「海にぃと買い物に行ってたんだ。きっとそれかな」
海さんか、と納得。兄妹で買い物なんてほんとに仲良いんだ。
「海さんだったら彼氏として自慢出来るけどねー」
私には都賀がいるけど……!!
「海にぃなんて彼氏にしたら大変だよ~、でもゆあちゃんって」
「ん?」
「都賀くんっていう、彼氏さんいるよね?」
……っ!? どうしてそれを!!
「なんで知ってるの?!」
「海にぃから聞いちゃった、ごめんね! あ、今日学校で話してたよね!?」
おおっと……七海ちゃんよく見てる……。
ここは嘘つけないな。
「うん、付き合ってるんだ。都賀と……」
「ゆあちゃん青春だね! 都賀くんって、名前なんて言うの?」
青春……なのかな。しかし青春イコール……これは言うのやめておこう。
「都賀の名前? 秋人だよ」
「へ~、都賀ゆあちゃんだね!!」
あ、都賀ゆあ!?やめてよ!! まるで結婚したような言い方は……。
「やめてぇ~」
「いいじゃんいいじゃん」
「恥ずかしいよーッ!」
自分で顔が赤いのが分かる。なんだかんだ、都賀のこと意識してるのかも。
「また恋バナ聞かせてね、んじゃ明日学校で~」
そう言って、七海ちゃんと私は別々の道へと帰っていった。
朝、寝ている七海ちゃんを必死に起こす。
「……おはよう?」
「なんで疑問系なの!?七海ちゃん、学校!!」
状況が読み込めてない様子の七海ちゃん。
そりゃあ引っ越してきた初日に騒ぎまくって疲れた上にお泊り会とかしたから余計……かな。
「えぇ!?い、今何時?!」
一瞬で目が覚めた様子の七海ちゃん。
「今7時20分!!間に合わないッ」
7時30分には家を出ないとまず間に合わない。
月曜日から遅刻とか出来ないし……。
「ゆあちゃん、頑張って……!!」
他人事のように言う。なんでそんなに余裕なんだ……。
「あたし、今日お母さんと10時頃学校行って学校の説明とか聞くんだ。だからのんびり出来るの〜」
さっき思い出した、と言う七海ちゃん。
いいな〜、なんて言ってる暇はなく、無言で着替えたり、髪をとかしたりする。
「お泊り会楽しかった〜、あたしは家に戻るね」
七海ちゃんは、私が家を出ると同時に家に帰っていく。
今の時刻、7時40分。
「うぅ……疲れたぁ……」
遅刻ギリギリで席につく。
「佐倉来るのおせぇ」
「寝坊しました……って……え?」
そう、話しかけてきたのは都賀……。
「都賀?」
「……」
都賀は机にうつ伏せの状態でそれ以上、何も話さなかった。
それから一日、授業中も都賀のことばっかり考えてた。
何で私を彼女にしたんだろう、とか私のこと本当に好きなの?とか……。
彼カノになった途端、お互い遠慮がちになって気まずくなったりする人も多いみたいだけど……。
実際、私達はと言うといつも通りで気まずくなんてならなくて。
朝はあんまり話せなかったけど、お昼休みとか都賀が一人でいる時を狙って話しかけたり。
何か、普通に青春してるなぁって思った部活帰りの時間。
「彼氏っていいよね〜」
なんて、ふと部活仲間の千尋(ココロ)が呟いた。
「ほしいよね、彼氏」
それにつられて莉央も(ナホ)言う。
部活帰りは、いつも私、千尋、莉央の三人で話しながら自転車置き場まで行く。
みんな学校まで自転車で通える距離に家がある。
なんて自分は歩きでも通える距離なんだけどね……。
そんなことは置いておいて……。
今日の会話は何だろ、まさか私達のことバレた……?
「彼氏私もほしいな……」
他人事のように言う。
「だよね!?ゆあもそう思うよね〜、彼氏いない仲間だよ」
うぅ……。
バレてない、と一安千尋するもこれじゃいつになっても実は彼氏います!!なんて言えない……。
「あ、はは……」
思いっきり苦笑い。
それでも千尋と莉央は気づかず、3人で自転車置き場まで行き、それぞれ別の道へ帰っていった。
「みーずかちゃん!」
朝早く、玄関のチャイムが鳴ると同時に七海ちゃんの声がする。。
早いって言っても7時ぐらいだけど……。
「はぁいっ」
いつもより早く学校の支度を済ませ、玄関へと向かう。
「おはよ~」
玄関には、制服をビシっと着こなした七海ちゃんの姿があった。
めっちゃ似合ってるなぁ。
「七海ちゃんおっはよー」
「ねぇねぇ、学校まで自転車で行くの?」
と、興味アリアリで聞いてきた。
「そうだよー、どうして?」
「前に住んでた所、小中関係なしに学校まで歩かなきゃいけないんだよー」
歩き!? だめだ私には耐えられない……。
「歩き!?こっちは小学生までだよー」
「そうなんだ~、あ、早く学校行こう?自転車通とかすっごく楽しそう!!」
相変わらずの七海スマイルかわいい!!
変な男が寄ってこないといいな、よし……七海ちゃんは私が守る!!って私は一体誰だよ!!
「だね、ゆっくり話ながら学校行こ!!」
「うんっ」
「ひとみぃぃぃ、ゆあぁぁいってらっしゃぁぁぁぁい!!」
どこからか海さんの声がした。
その声を聞くと七海ちゃんは呆れたように、「海にぃのばか……」と、ボソっと呟いた。
でも、なぜかフッと笑っていてお兄さん好きなんだなって思ったりもした。
学校に着くと、自転車置き場に莉央の姿があった。
「莉央じゃん、はよー」
「おはよ?その子は?」
莉央の頭にハテナマークが浮かんでいる。
「んと、転入生の植草七海ちゃん」
「七海です、これからよろしくお願いします!」
ペコっとお辞儀をする。
その七海ちゃんの行動を見た菜穂はいつもの調子で、
「莉央です、よろしくね!ゆあ頼りないから分からないことあったら何でもアタシに聞いて!」
「頼りないは余計ですぅ」
「その口調やめてー」
七海ちゃんは私たちの会話を聞いて少し笑う。
というか呆れてるんじゃ……。
「莉央さん……?」
「莉央でいいよー」
莉央……、私と思いっきり態度違う……。
もっとその優しさを私にくれないんですかね?
「えっと、じゃあ……莉央……?ゆあちゃんと仲いいの?」
「ゆあ?んー、まぁ普通って所」
普通!?そこは正直に言ってよ!
というかこれが本音だったらそれはそれで悲しいけど……。
「いや仲いいから!!多分」
「多分?!」
反応に困る七海ちゃん。
「どっちでもいいけど、早く教室行こうよ。みんなに紹介しなきゃ」
結局どっちでもいいのか……。
「そだね、じゃあ行こ!」
「うん!」
それから教室に行くと、七海ちゃんはいつのまにか注目され、
私と莉央の出番はほとんどなかった。
「おはよー」
っとそこに先生登場。その無駄にテンションが高い。
みんなちょっと引き気味……。
「お、植草さん早速馴染んでるね」
「は、はぁ……」
七海ちゃんまで引き気味。だから私なんてドン引き状態。
「えっと、ゆあ。植草さんに色々教えてやって」
「言われなくてもそうしますー」
こんな感じで、いつも以上にうるさい朝が終わった。
ちなみに七海ちゃんの席は私の後ろである。
「改めてよろしく、七海ちゃん」
「うん!」
七海ちゃん転校初日は、授業前の休み時間になるといつのまにか七海ちゃんの周りには人だかり。
これの繰り返しであっという間に一日が過ぎた。
そして部活の時間、テニス部に来てくれるかな?と思ったけど吹奏楽部に入るらしい。
今日はその見学に行くのだとか。ちょっとがっかり。
「ゆあ、七海ちゃんって可愛いよね~」
「だよね!!」
部活の時間、莉央が話しかけてくる。
「素直でいい子、ゆあとは大違い」
素直じゃなくてごめんなさいね……。
「じゃあ、私も七海ちゃんみたく素直になろうかな」
冗談で言うと、莉央は引き気味に
「お願いだからやめて」
と言う。毒舌だよ……!!特に私に対して!!
「……今のゆあが一番いいと思う」
「え?」
小さい声で言っていたからあまりよくは聞こえなかった。
今の私が……?
「聞こえなかったんだけど……」
「なんでもないよ!ほら、さっさとサーブ練習!!」
なぜか怒る莉央。
そして、言うだけ言うと練習に戻っていった。
今日は部活に千尋の姿がないけど何かの集まりなのかな。
「ご苦労様でしたッ」
部活が終わって、下校の時間。
千尋は部活が終わる10分ぐらい前に来た。
「莉央、千尋!一緒に帰ろ?」
「「えぇ」」
息を合わせる莉央と千尋。
なんでこう二人とも私の扱いがひどいの~!?
「だめ……??」
おねだり気味に言ってみる。
「しっかたないな~」
「一緒に行ってあげるよ!」
と、莉央と千尋。
三人で歩いていると、昇降口の方から七海ちゃんの声がする。
「あ、ゆあちゃん莉央ちゃん!……と?」
「吹部も今終わったんだね、この子は千尋だよ。クラス離れてるけどね」
「千尋です。転校生って噂になってたけどこんな可愛い子だったんだ」
笑顔で挨拶する千尋。
その笑顔もっと私にくれよ……!
「可愛いなんてそんな……!!あたしは植草七海です。よろしくね」
相変わらず礼儀正しくていい子だな七海ちゃん。
「七海ちゃん、一緒に行こっ」
「いいの?」
いいに決まってる、と言おうとしたが先に莉央と千尋に
「いいよ!!」
と先を越されてしまった。
「あ、別にゆあと一緒に帰りたいわけじゃないからね?」
……ツンデレ?
いや、ないな。莉央の場合デレがない。
「よっし、帰ろ~」
「ゆあうるさいっ」
「えぇ……」
う、うるさくないもん……!!
「ま、七海ちゃん。ゆあが近所で色々大変だと思うけどがんばってね!!」
と莉央。
「頑張るっ」
なんでそのノリについていくの七海ちゃーん!?
「七海ちゃんいい子ー、よしチャリとばそ!!」
「「おおーっ」」
とても賑やかな帰り道。一人増えただけでもこんなに違うんだね。
七海ちゃん、私たちの学校に来てくれて、ありがとう。
「佐倉ー」
次の日、七海ちゃんと待ち合わせをして学校に行くと都賀からの呼び出し。
ちょっと行ってくる、とひとみちゃんに声かけ都賀の所に行く。
「どした?」
都賀は周りを確認した後、私にコソっと話しかけてくる。
耳がくすぐったいです……。
「大丈夫?」
「いいよ!暇だし」
「分かった、じゃまた」
都賀はそれだけ伝えると、男友達の所へ行った。まだクラスのみんなにはバレてない様子。
私も七海ちゃんの所へ行こうとした時、男子の会話が聞こえた。
「植草さんって、かわいいよな」
「でもさ、彼氏いるんじゃね。俺見たし」
……七海ちゃんに彼氏?
そんな話、聞いたことない。いや、聞いたことないだけで実際はいるっていうことも……。
あんなに可愛いんだし、彼氏ぐらいいても当たり前か。
「高校生ぐらいのさー。帽子がぶってたからよく見えなかったけど」
高校生?帽子?
高校生って言ったら、七海ちゃんのお兄さんの海さんぐらいだよね。
とりあえず私は、七海ちゃんに聞いてみようと思った。
「七海ちゃん?」
言おうとした瞬間、授業始まりのチャイムが鳴る。
タイミング悪い……、後で聞こう。
しかしそれからというもの、移動移動が多く、なかなか彼氏のことを聞くことが出来ない。
移動の時、私と七海ちゃんで行っているから聞けないということはないが……。
タイミングがつかめなく、聞けない。
思い切って正面から聞けばいいのに、後一歩勇気が出ない。
気づいた頃には給食、掃除の時間、下校。
今は下校の時間である。
いつものように、自転車を走らせながら自然に……。
いけ!自分!!
「七海ちゃん」
「なーに?」
「あのさ、彼氏いたりするの??ずっと気になってたんだ」
よく言えた私!! 頑張った……!!
「アタシにかれ……し?!い、いるわけないじゃん!!」
驚いている様子の七海ちゃん。
なぁんだ、いないのか。……って、じゃああの高校生は誰?
いや高校生って決まったわけじゃないけど。
「いないんだ、意外~。でも、クラスの男子が言ってたけど高校生ぐらいの人と歩いてたって」
「高校生……?」
身に覚えのない感じ。
「あ、あぁ!!」
七海ちゃんは何かを思い出したように言う。
「あれ見られてたんだ、恥ずかしい」
「やっぱり彼氏?」
そう言うと、七海ちゃんは首をぶんぶん左右に振る。
「海にぃと買い物に行ってたんだ。きっとそれかな」
海さんか、と納得。兄妹で買い物なんてほんとに仲良いんだ。
「海さんだったら彼氏として自慢出来るけどねー」
私には都賀がいるけど……!!
「海にぃなんて彼氏にしたら大変だよ~、でもゆあちゃんって」
「ん?」
「都賀くんっていう、彼氏さんいるよね?」
……っ!? どうしてそれを!!
「なんで知ってるの?!」
「海にぃから聞いちゃった、ごめんね! あ、今日学校で話してたよね!?」
おおっと……七海ちゃんよく見てる……。
ここは嘘つけないな。
「うん、付き合ってるんだ。都賀と……」
「ゆあちゃん青春だね! 都賀くんって、名前なんて言うの?」
青春……なのかな。しかし青春イコール……これは言うのやめておこう。
「都賀の名前? 秋人だよ」
「へ~、都賀ゆあちゃんだね!!」
あ、都賀ゆあ!?やめてよ!! まるで結婚したような言い方は……。
「やめてぇ~」
「いいじゃんいいじゃん」
「恥ずかしいよーッ!」
自分で顔が赤いのが分かる。なんだかんだ、都賀のこと意識してるのかも。
「また恋バナ聞かせてね、んじゃ明日学校で~」
そう言って、七海ちゃんと私は別々の道へと帰っていった。