冬恋。
試合と初デート
週末の夜。
お風呂上り、携帯がチカチカ点滅して光っている。
これは、メールがある合図みたいなものだ。
───莉央
莉央?どうしてだろう、メールなんて珍しい。
件名:明日のこと
本文:
こんばんは♪
明日テニス試合じゃん?忘れてないよね??
で、ゆあはお昼どうするのかなって。
---END---
試合……あ!!明日練習試合じゃん。忘れてた……危ない。
お昼は適当にパンでいいかな……。
"私は適当にパンにすることにする"
打ち終わり、返信をして携帯を閉じた。
数分後、返信が届く。
──莉央
件名:Re:3
本文:
さんきゅー、んじゃまた明日。またね。
---END---
冷たい……。もっと顔文字とか絵文字とか使ってくれても……。
なんだかんだ、時計の針は11時を回っていたのでそのままベットに入り寝ることにした。
そして次の日の練習試合。
今日も何事もなく、平和に終わるものだと思っていた。しかし、テニス部部員……特に2年はそんなに甘くはなかった。
事件……っぽいものはお昼に起きた。
私、千尋、莉央でお昼を食べていた時。千尋が静かに口を開いた。
「彼氏ほしいな~」
またそれか……、前にも話していた気がする。
「だね」
適当に相槌を打つ。
「てかさぁ~、千尋知ってるんだよねぇ~っ」
千尋の話し方がどうも怪しくなってきた。
私のこと……?そう思ったが無言でチョココロネを食べる。
……チョココロネには突っ込まないでほしい。
「ゆあ、都賀くんと付き合ってる?!」
「ふごっ」
いきなりのことにチョココロネを詰まらせた。
なぜそれを知ってる……?
「付き合うとかまさかね……、ないない」
とにかく否定してみる。
「本当のこと言わないと嫌いになるよ?」
それってもう付き合ってるって確定してるからそう言えるんじゃ……。
「もうゆあと話さなくなるよ~?」
つられて莉央まで言う。
「言います……、嫌いにならないで……!!」
付き合って約一週間、バレました……。
お昼時間が終わり、午後の試合が入る。
私と莉央のペアが試合に入ると周りのみんなは一斉に、応援コール。
……とっても恥ずかしい応援コールをしてきた。
「あっずーま!!みっずーか!!らっヴらヴ!!」
あぁぁっ……恥ずかしいってもう!!
「こーいっ」
試合が始まると、いろんな人の声が聞こえてくる。
「都賀のためにがんばっ!!」
「彼氏いいなぁ!」
他の学校の人いるのにやめて!と言いたい所だがそんなに内心嫌っていうほどではなかった。
さすがに試合となると集中はするが……。どうも後ろにいる人達が気になって仕方ない。
でも恥ずかしいなどと言っていても試合はどんどん進んでいく。
「ラッキッ」
試合は何事もなく進んでいきセットは2-1で私と莉央のペアが勝っている。
といってもほとんど相手のミスだ。
いたって私たちはいつも通りである。
「ナイボレーッ」
そして次のセットは私たちが取った。
ほとんど私の出番はなく莉央が点を決めてくれた。
……かっこいい、とでも言っておこう。
「ありがとうございましたっ」
相手のペアとの挨拶が終わると、莉央は私にアドバイスをくれた。
アドバイス……のはず。
「ゆあアウトしすぎ。ラケットの面気をつけてよねー」
「ごめーん」
「ま、勝ったからいいよ。あたしのおかげだからね??」
莉央だけかよっ、と突っ込みを入れたい。
でも、今回の試合は莉央がほとんど点を入れたのと相手のミスだったしなぁ。
「はーい」
ここは素直に受け止めておいた。
だってこうでもしないと莉央怖いッ!!
なんだかんだ、口調はキツイような気がするが顔はニコニコな莉央。
やっぱり勝つと嬉しいものだ。
「ゆあ、報告いくよ!」
「うんっ」
試合は次々に進んでいく。気づけば15時、試合終了の時間だ。
案外片付けも早く終わりみんなで騒ぎながら自転車に乗って家に帰っていった。
「明日何着よう……??」
自分の部屋で明日の準備をしているとメールが届く。
──七海ちゃん
七海ちゃん……?どうしてだろう。
件名:どーしよ?!
本文:
恋しちゃったかも?
---END---
ここで音楽が流れ……るわけがなかった。
本文これだけか……、なんて思いつつ返事を打っていく。
"ついに七海ちゃんも恋する乙女か~!! お相手は?!"
送信ボタンを押す。
七海ちゃんが恋かぁ、この前転校してきたばかりなのに。そんな一目惚れするような相手が同級生にいたっけか……。
件名:Re:3
本文:
言うの!? えっと……結平(キッペイ)くんだよ。
昨日話しかけられてね、笑顔がかっこよくて好きになっちゃったッ!!
---END---
結平……か。意外だった、七海ちゃんが結平を好きになるなんて。
アイツ、女子とほとんど話さなくて、話したとしても素っ気無いのに笑顔とか……。
まず有り得ない。いや、七海ちゃんなら有り得るかも……。
"結平くんかー、多分いい人だと思うよ。七海ちゃんがんばれ!!"
送信っと……。
私はここでメールが終わると思っていた。
しかしその1時間後……。
件名:Re:25
本文:
もうまじカッコイイの!!彼女とかいないよね……?
---END---
さらに1時間後。
件名:RE:51
本文:今少し席近いんだ、席替えしたら隣になったりして?!
学校めっちゃ楽しみ~
---END---
そしてその30分後。
件名:RE:62
本文:そろそろ練るね、おやすみ~っ!
---END---
ね、練る!?
七海ちゃん、これは寝るっていうことでよろしいのでしょうか?
なんだかんだ、深夜の12時過ぎまでメールしていた。
明日のデート起きれるかな~……?
~♪
「!?」
朝、着信音で目が覚める。都賀……かな、と携帯を見てみるとまさかの相手だった。
──結平……。
七海ちゃんにはまだ言っていないけど、私と結平は幼馴染なのだ。
そして家も近い。
件名:無題
本文:
今日暇?
---END---
暇なわけがあるかいッ!!
私は今日デートなんだよ!と言いたい。
"今日暇じゃない、出かけるんだ。んじゃねー"
返信はすぐに来た。
件名:無題Re:2
本文:
また暇な時メールすっから。んじゃまた学校でな
---END---
一体なんだったんだろう、少し前は休みになるとほぼ一緒に遊んでる感じだったし、遊びに誘ってくれたのかな……。
それから待ち合わせまでの30分、着替えたり、メイクしたり出かける準備をした。
メイクなんていつもしないけど、初デートなわけだしオシャレしていきたいじゃん?
あ、これ乙女心ってヤツ。私にもちゃーんとあるのよ。
そして9時、待ち合わせ30分前。ここから歩きで待ち合わせ場所まで行く。
「遊びにいってきまーすっ」
外は涼しかった……、いやどちらかというと寒い。
少しずつ秋に近づいてるんだなって思いつつ歩いていく。
15分ぐらい歩いて待ち合わせ場所についた。
まだいないのかな、と辺りを見回す。
……あれは。
都賀?と思われる人がいた。でも大人っぽいし違う……かな。
するとその人は私に近づいてくる。
やっぱり都賀だ……。私服かっこよすぎる……。
「よっ」
「お、おはよ……っ」
どこのツンデレっ子ですか私───!?
でも、まともに顔見れないし、恥ずかしい……。
「なぁ」
「は、はい!?」
少しだけ顔を上げる。
「昨日、寝れた?」
「へ?」
寝れた……?ってどうして。
いきなりそんなことを聞かれたからびっくりして変な声しか出なかった。
「一応はね。七海ちゃんとメールしてたから寝たの12時ぐらいだけど。都賀は?」
「あぁ俺?オールした」
オールって、寝てないの……?
「寝てないの?」
「まぁな。ゲームしてたら朝になっててさー」
それってつまり、デートが楽しみで寝られなかった……というわけではないんですかね。
てっきり私は、デートが楽しみすぎて寝られないのかと……。
「あ、そうだ」
「どうしたの?都賀」
「その服、似合ってるよ」
あっさり言う。
でも、その言葉は私にとってとても嬉しいものだった。
都賀、乙女千尋分かってくれるのね。
「ありがとっ」
「ん。じゃそろそろ行くか」
「うんっ!!」
きっと、今幸せすぎて自分の顔ニコニコなんだろうなぁ……。
その時、丁度バスが来た。地元には何もないからバスを使って街のほうへいく。
「どこ座る?」
「一番後ろの窓側で」
都賀即答。すぐに答えてくれるから助かる。
「あーっ眠い!!」
数分は二人して眠い眠いとしか言わなかった。
バスの中で、都賀と色々な話をした。……眠い以外にね。
「お前ジャンケ弱いよな」
いきなり何を……。
「都賀に言われたくないねー」
「ええ。まぁいいや。ジャンケンってさチョキが一番強くね?」
いやいや、ジャンケンに一番強いとかないですから。
とか思いつつ答える私。
「いやぁ、グーでしょ。カッコイイし」
「チョキまじつえーよ??」
他の乗客はみんな頭にハテナを浮かべている。
まぁ当たり前か。どこから見てもカップルとしか見えない私たちの話の内容がジャンケンだもんね……。
ていうか、私はカップルっていうより仲いい男女みたいにしか思ってないけどね。
「次は終点ー」
お、もう終点か。
「もう着くんだ、早いね」
「だな」
バスを降りると外は朝よりは暖かい。
「都賀、行こ~」
「行くか」
目的の所まで歩き出すと都賀は自然に車道側を歩いてくれる。
こういう気遣い、女子は弱いんだよね。私はどうか分からないけど。
肩が触れるぐらいの距離で歩くが、手はつながなかった。
「あ、ゴスロリの服じゃんかっこいいっ」
歩いている途中、甘ロリ、ゴスロリ系の派手な服が売っている前を通った。
「お前、ああいうの着そう」
私ってそういうイメージなの……?
「家にゴスロリっぽい制服あるよ」
「今度それ着てよ」
……何で??
「そのままヤる」
「変態都賀、絶対着ないわぁ」
そのまま二人して笑う。
友達のような会話だから変な気をつかわないでいいから楽だ。
それから一日、日が暮れるまで都賀とデートした。
デートって言ってもほぼゲーセンで時間をつぶしただけだけど。
キスも、手をつなぐこともなかったけど、今までで一番楽しい一日だったよ。
でも、それは最初で最後の都賀とのデートだった……。
お風呂上り、携帯がチカチカ点滅して光っている。
これは、メールがある合図みたいなものだ。
───莉央
莉央?どうしてだろう、メールなんて珍しい。
件名:明日のこと
本文:
こんばんは♪
明日テニス試合じゃん?忘れてないよね??
で、ゆあはお昼どうするのかなって。
---END---
試合……あ!!明日練習試合じゃん。忘れてた……危ない。
お昼は適当にパンでいいかな……。
"私は適当にパンにすることにする"
打ち終わり、返信をして携帯を閉じた。
数分後、返信が届く。
──莉央
件名:Re:3
本文:
さんきゅー、んじゃまた明日。またね。
---END---
冷たい……。もっと顔文字とか絵文字とか使ってくれても……。
なんだかんだ、時計の針は11時を回っていたのでそのままベットに入り寝ることにした。
そして次の日の練習試合。
今日も何事もなく、平和に終わるものだと思っていた。しかし、テニス部部員……特に2年はそんなに甘くはなかった。
事件……っぽいものはお昼に起きた。
私、千尋、莉央でお昼を食べていた時。千尋が静かに口を開いた。
「彼氏ほしいな~」
またそれか……、前にも話していた気がする。
「だね」
適当に相槌を打つ。
「てかさぁ~、千尋知ってるんだよねぇ~っ」
千尋の話し方がどうも怪しくなってきた。
私のこと……?そう思ったが無言でチョココロネを食べる。
……チョココロネには突っ込まないでほしい。
「ゆあ、都賀くんと付き合ってる?!」
「ふごっ」
いきなりのことにチョココロネを詰まらせた。
なぜそれを知ってる……?
「付き合うとかまさかね……、ないない」
とにかく否定してみる。
「本当のこと言わないと嫌いになるよ?」
それってもう付き合ってるって確定してるからそう言えるんじゃ……。
「もうゆあと話さなくなるよ~?」
つられて莉央まで言う。
「言います……、嫌いにならないで……!!」
付き合って約一週間、バレました……。
お昼時間が終わり、午後の試合が入る。
私と莉央のペアが試合に入ると周りのみんなは一斉に、応援コール。
……とっても恥ずかしい応援コールをしてきた。
「あっずーま!!みっずーか!!らっヴらヴ!!」
あぁぁっ……恥ずかしいってもう!!
「こーいっ」
試合が始まると、いろんな人の声が聞こえてくる。
「都賀のためにがんばっ!!」
「彼氏いいなぁ!」
他の学校の人いるのにやめて!と言いたい所だがそんなに内心嫌っていうほどではなかった。
さすがに試合となると集中はするが……。どうも後ろにいる人達が気になって仕方ない。
でも恥ずかしいなどと言っていても試合はどんどん進んでいく。
「ラッキッ」
試合は何事もなく進んでいきセットは2-1で私と莉央のペアが勝っている。
といってもほとんど相手のミスだ。
いたって私たちはいつも通りである。
「ナイボレーッ」
そして次のセットは私たちが取った。
ほとんど私の出番はなく莉央が点を決めてくれた。
……かっこいい、とでも言っておこう。
「ありがとうございましたっ」
相手のペアとの挨拶が終わると、莉央は私にアドバイスをくれた。
アドバイス……のはず。
「ゆあアウトしすぎ。ラケットの面気をつけてよねー」
「ごめーん」
「ま、勝ったからいいよ。あたしのおかげだからね??」
莉央だけかよっ、と突っ込みを入れたい。
でも、今回の試合は莉央がほとんど点を入れたのと相手のミスだったしなぁ。
「はーい」
ここは素直に受け止めておいた。
だってこうでもしないと莉央怖いッ!!
なんだかんだ、口調はキツイような気がするが顔はニコニコな莉央。
やっぱり勝つと嬉しいものだ。
「ゆあ、報告いくよ!」
「うんっ」
試合は次々に進んでいく。気づけば15時、試合終了の時間だ。
案外片付けも早く終わりみんなで騒ぎながら自転車に乗って家に帰っていった。
「明日何着よう……??」
自分の部屋で明日の準備をしているとメールが届く。
──七海ちゃん
七海ちゃん……?どうしてだろう。
件名:どーしよ?!
本文:
恋しちゃったかも?
---END---
ここで音楽が流れ……るわけがなかった。
本文これだけか……、なんて思いつつ返事を打っていく。
"ついに七海ちゃんも恋する乙女か~!! お相手は?!"
送信ボタンを押す。
七海ちゃんが恋かぁ、この前転校してきたばかりなのに。そんな一目惚れするような相手が同級生にいたっけか……。
件名:Re:3
本文:
言うの!? えっと……結平(キッペイ)くんだよ。
昨日話しかけられてね、笑顔がかっこよくて好きになっちゃったッ!!
---END---
結平……か。意外だった、七海ちゃんが結平を好きになるなんて。
アイツ、女子とほとんど話さなくて、話したとしても素っ気無いのに笑顔とか……。
まず有り得ない。いや、七海ちゃんなら有り得るかも……。
"結平くんかー、多分いい人だと思うよ。七海ちゃんがんばれ!!"
送信っと……。
私はここでメールが終わると思っていた。
しかしその1時間後……。
件名:Re:25
本文:
もうまじカッコイイの!!彼女とかいないよね……?
---END---
さらに1時間後。
件名:RE:51
本文:今少し席近いんだ、席替えしたら隣になったりして?!
学校めっちゃ楽しみ~
---END---
そしてその30分後。
件名:RE:62
本文:そろそろ練るね、おやすみ~っ!
---END---
ね、練る!?
七海ちゃん、これは寝るっていうことでよろしいのでしょうか?
なんだかんだ、深夜の12時過ぎまでメールしていた。
明日のデート起きれるかな~……?
~♪
「!?」
朝、着信音で目が覚める。都賀……かな、と携帯を見てみるとまさかの相手だった。
──結平……。
七海ちゃんにはまだ言っていないけど、私と結平は幼馴染なのだ。
そして家も近い。
件名:無題
本文:
今日暇?
---END---
暇なわけがあるかいッ!!
私は今日デートなんだよ!と言いたい。
"今日暇じゃない、出かけるんだ。んじゃねー"
返信はすぐに来た。
件名:無題Re:2
本文:
また暇な時メールすっから。んじゃまた学校でな
---END---
一体なんだったんだろう、少し前は休みになるとほぼ一緒に遊んでる感じだったし、遊びに誘ってくれたのかな……。
それから待ち合わせまでの30分、着替えたり、メイクしたり出かける準備をした。
メイクなんていつもしないけど、初デートなわけだしオシャレしていきたいじゃん?
あ、これ乙女心ってヤツ。私にもちゃーんとあるのよ。
そして9時、待ち合わせ30分前。ここから歩きで待ち合わせ場所まで行く。
「遊びにいってきまーすっ」
外は涼しかった……、いやどちらかというと寒い。
少しずつ秋に近づいてるんだなって思いつつ歩いていく。
15分ぐらい歩いて待ち合わせ場所についた。
まだいないのかな、と辺りを見回す。
……あれは。
都賀?と思われる人がいた。でも大人っぽいし違う……かな。
するとその人は私に近づいてくる。
やっぱり都賀だ……。私服かっこよすぎる……。
「よっ」
「お、おはよ……っ」
どこのツンデレっ子ですか私───!?
でも、まともに顔見れないし、恥ずかしい……。
「なぁ」
「は、はい!?」
少しだけ顔を上げる。
「昨日、寝れた?」
「へ?」
寝れた……?ってどうして。
いきなりそんなことを聞かれたからびっくりして変な声しか出なかった。
「一応はね。七海ちゃんとメールしてたから寝たの12時ぐらいだけど。都賀は?」
「あぁ俺?オールした」
オールって、寝てないの……?
「寝てないの?」
「まぁな。ゲームしてたら朝になっててさー」
それってつまり、デートが楽しみで寝られなかった……というわけではないんですかね。
てっきり私は、デートが楽しみすぎて寝られないのかと……。
「あ、そうだ」
「どうしたの?都賀」
「その服、似合ってるよ」
あっさり言う。
でも、その言葉は私にとってとても嬉しいものだった。
都賀、乙女千尋分かってくれるのね。
「ありがとっ」
「ん。じゃそろそろ行くか」
「うんっ!!」
きっと、今幸せすぎて自分の顔ニコニコなんだろうなぁ……。
その時、丁度バスが来た。地元には何もないからバスを使って街のほうへいく。
「どこ座る?」
「一番後ろの窓側で」
都賀即答。すぐに答えてくれるから助かる。
「あーっ眠い!!」
数分は二人して眠い眠いとしか言わなかった。
バスの中で、都賀と色々な話をした。……眠い以外にね。
「お前ジャンケ弱いよな」
いきなり何を……。
「都賀に言われたくないねー」
「ええ。まぁいいや。ジャンケンってさチョキが一番強くね?」
いやいや、ジャンケンに一番強いとかないですから。
とか思いつつ答える私。
「いやぁ、グーでしょ。カッコイイし」
「チョキまじつえーよ??」
他の乗客はみんな頭にハテナを浮かべている。
まぁ当たり前か。どこから見てもカップルとしか見えない私たちの話の内容がジャンケンだもんね……。
ていうか、私はカップルっていうより仲いい男女みたいにしか思ってないけどね。
「次は終点ー」
お、もう終点か。
「もう着くんだ、早いね」
「だな」
バスを降りると外は朝よりは暖かい。
「都賀、行こ~」
「行くか」
目的の所まで歩き出すと都賀は自然に車道側を歩いてくれる。
こういう気遣い、女子は弱いんだよね。私はどうか分からないけど。
肩が触れるぐらいの距離で歩くが、手はつながなかった。
「あ、ゴスロリの服じゃんかっこいいっ」
歩いている途中、甘ロリ、ゴスロリ系の派手な服が売っている前を通った。
「お前、ああいうの着そう」
私ってそういうイメージなの……?
「家にゴスロリっぽい制服あるよ」
「今度それ着てよ」
……何で??
「そのままヤる」
「変態都賀、絶対着ないわぁ」
そのまま二人して笑う。
友達のような会話だから変な気をつかわないでいいから楽だ。
それから一日、日が暮れるまで都賀とデートした。
デートって言ってもほぼゲーセンで時間をつぶしただけだけど。
キスも、手をつなぐこともなかったけど、今までで一番楽しい一日だったよ。
でも、それは最初で最後の都賀とのデートだった……。