年下の彼氏
2人のまわりをほんわかのコーヒーの香り。
頭がふわふわしてくる。
女子大生に人気な喫茶店って感じ。
時間は午後7時。
話をするために駅まで戻った。
夜遅いのに家族連れやカップル、
女の子同士で喫茶店。
あたしたちもその一人。
落ち着くダージリンの紅茶。
ミルクを入れながらあたしは話し出す。
「ふう−んっ。なるほどね−。」
ジンジャエールを飲みながら桃子は言った。
−どうしてあんなことしたの?
声が頭の中で響く。
あの日、学校の近くで
遅刻しそうで
走ってて
ぶつかって…。
「悪い…。オレ、なんであんなことやったのか分からねえんだ…。」
ショックだった。
あたしのファーストキス。
分からないのにしたなんて。
愛がないのにしたなんて。
はじめてのキス…。
「ま、まだ分かんないけどね。」
ジンジャエールの中のさくらんぼをつまみながら桃子も考えていた。
その子、絶対また菜月に会いにくるよ。
そう言って、あたしたちはあの道で別れた。
真っ暗の中、道の電灯だけが輝いていた。