年下の彼氏


2人のまわりをほんわかのコーヒーの香り。

頭がふわふわしてくる。

女子大生に人気な喫茶店って感じ。

時間は午後7時。

話をするために駅まで戻った。

夜遅いのに家族連れやカップル、

女の子同士で喫茶店。

あたしたちもその一人。

落ち着くダージリンの紅茶。

ミルクを入れながらあたしは話し出す。
















「ふう−んっ。なるほどね−。」

ジンジャエールを飲みながら桃子は言った。

−どうしてあんなことしたの?

声が頭の中で響く。

あの日、学校の近くで

遅刻しそうで

走ってて

ぶつかって…。





「悪い…。オレ、なんであんなことやったのか分からねえんだ…。」









ショックだった。

あたしのファーストキス。

分からないのにしたなんて。

愛がないのにしたなんて。

はじめてのキス…。




「ま、まだ分かんないけどね。」

ジンジャエールの中のさくらんぼをつまみながら桃子も考えていた。

その子、絶対また菜月に会いにくるよ。

そう言って、あたしたちはあの道で別れた。

真っ暗の中、道の電灯だけが輝いていた。

< 31 / 86 >

この作品をシェア

pagetop