重力地獄の決闘
 飛行禁止の主な理由としてトロンⅡBにおける酸素供給源の保護が上げられるが、実際はそんな理由によるものではない。

 問題は砂苔のある特性にあった。

 砂苔は、植物のように光合成で二酸化炭素を吸い酸素を吐くが、それ以外に、風蝕によって顆粒状になった鉱物を体に蓄え、それを元にして成長、繁殖を行っている。

 いわゆる鉱物系植物だった。

 その体内合成によって作られた複合装甲のような表皮は、あらゆる電磁波系センサーを無効にしてしまっていた。

 電磁波を吸収するのではなく、あらゆる領域の電磁波を均一に反射してしまうのである。

 レーザー光も乱反射するので地形の読み取りには向かない。

 使えば、レーダースコープが全て光点で埋め尽くされ、パンクしてしまうだろう。

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