オレンジ色の校舎





「報…告ね。わかった」



返事は返したけど、瀬川くんの目が見れなかった。何を言われるのか考えると、目が泳いで仕方がない。



あたしにとって、良い報告なの?それとも…悪い報告?



「はい、お待たせ!」



楓ちゃんが帰ってくるまで会話はなく、ただ時計の針を見つめるだけだった。



「次、あたしと遥ちゃん行こうよ!女同士もアリでしょ?」



麻衣達と交代し、2人でトシさんの病室に行った。だが、何も変化はなく、ガッカリしてしまった。



「人ってさ、簡単に意識戻らないんだね」



「よっぽどトシさんは…働いてたんだね」



一馬くんのために、一馬くんを立派に育てるために…一生懸命だったんだ。



大人の世界を知らないあたしは鼻の奥がツンとした。楓ちゃんも同じ心境だったみたい。



「あたし…自分のお父さんもこうなったらって考えちゃって。でも…そんなこと考えたくないよぉ」



楓ちゃんとギュッと手を繋いで、ポロポロと滴を流した。






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