風に揺蕩う物語
文官達が住まうイクセン宮殿の執務室にシャロンはひっそりと居た。
シャロンの両親がシャロンの命を助けるために、この場に隠したのだろう。シャロンは壮絶を極めた戦の最中も、分厚い本を片手に机に向かい、勉学に勤しんでいた。
小さい子供ならエストール王国軍の兵も保護してくれるだろうと考えていたのだとディオスはこの時考えた。
兵の知らせを受け、ディオスは文官執務室に居るシャロンに言葉をかける。
「お譲ちゃんは何の勉強をしているんだい?」
ディオスは出来るだけ刺激を与えないように言葉をかけた。小さい子供は戦が与える恐怖で、その小さな体に大きな爪痕を残してしまう。
ディオスはその事をよく熟知していた。武器などは一切携帯せず、他の兵を全てその場から下げさせ、一人で目の前の幼き頃のシャロンに接する。
シャロンは子供の特徴である澄んだ瞳をディオスに向けると、座った状態で本を開いたまま冷静な口調で話し出す。
「農地開拓及び水田開拓に掛かる費用の計算式を勉強しております」
「ほぉ…小さいのにもう治水管理の勉強をしているのか。立派なものだな…」
この時素直に関心してしまうディオス。シャロンが読んでいる本はとても子供が読める様な文面ではない。文官の末席が習う様な内容の本なのだ。
「ところでお譲ちゃんは名前は何と言うんだい?いつまでもお譲ちゃんと呼ぶ訳にもいかんしな。ちなみに私はディオス・シャオシールと言う名前のエストール王国の騎士だ」
「私のお前はシャロン・ルクデシベルでございます。どうかシャロンと及び下さいディオス・シャオシール様」
シャロンはそう言うと、読んでいた本を閉じその場に立ち上がるそしてディオスに向かって姿勢良く向き合うと、深く頭を下げた。
「この度の戦はイクセンの敗北で終結したのでしょう。私もイクセンの政に携わっていた文官の娘です。ディオス・シャオシール様をエストール王国軍の上官とお見受けして一つお願いがあります」
「…お聞きしよう」
思わずそう答えてしまった己にディオスは深く驚いた。目の前に居るのはまだ幼い子供ではないのか…。
自分と同等の存在と対峙している感覚と同じものを受け、思わずそう返してしまったのだった。
シャロンの両親がシャロンの命を助けるために、この場に隠したのだろう。シャロンは壮絶を極めた戦の最中も、分厚い本を片手に机に向かい、勉学に勤しんでいた。
小さい子供ならエストール王国軍の兵も保護してくれるだろうと考えていたのだとディオスはこの時考えた。
兵の知らせを受け、ディオスは文官執務室に居るシャロンに言葉をかける。
「お譲ちゃんは何の勉強をしているんだい?」
ディオスは出来るだけ刺激を与えないように言葉をかけた。小さい子供は戦が与える恐怖で、その小さな体に大きな爪痕を残してしまう。
ディオスはその事をよく熟知していた。武器などは一切携帯せず、他の兵を全てその場から下げさせ、一人で目の前の幼き頃のシャロンに接する。
シャロンは子供の特徴である澄んだ瞳をディオスに向けると、座った状態で本を開いたまま冷静な口調で話し出す。
「農地開拓及び水田開拓に掛かる費用の計算式を勉強しております」
「ほぉ…小さいのにもう治水管理の勉強をしているのか。立派なものだな…」
この時素直に関心してしまうディオス。シャロンが読んでいる本はとても子供が読める様な文面ではない。文官の末席が習う様な内容の本なのだ。
「ところでお譲ちゃんは名前は何と言うんだい?いつまでもお譲ちゃんと呼ぶ訳にもいかんしな。ちなみに私はディオス・シャオシールと言う名前のエストール王国の騎士だ」
「私のお前はシャロン・ルクデシベルでございます。どうかシャロンと及び下さいディオス・シャオシール様」
シャロンはそう言うと、読んでいた本を閉じその場に立ち上がるそしてディオスに向かって姿勢良く向き合うと、深く頭を下げた。
「この度の戦はイクセンの敗北で終結したのでしょう。私もイクセンの政に携わっていた文官の娘です。ディオス・シャオシール様をエストール王国軍の上官とお見受けして一つお願いがあります」
「…お聞きしよう」
思わずそう答えてしまった己にディオスは深く驚いた。目の前に居るのはまだ幼い子供ではないのか…。
自分と同等の存在と対峙している感覚と同じものを受け、思わずそう返してしまったのだった。