執事と共に謎解きを。
「毒入り、じゃないかしら」


差し出された紅茶を前に、少女はそう言い放った。

差し出した青年の静かな瞳が、二度三度しばたたく。

しかし青年は、それ以上動じた様子もなく淡々と答えた。


「朝、いつものように入れた紅茶に、そんなことを言われたのは初めてですね」


少女は、紅茶のカップを見つめたままどこか切々とした表情で言った。


「嫌な予感がするのよ」

「そんなことより、そろそろお着替えになりませんと」


少女の言葉を受け流すように、青年は少女の目の前に着替えを用意する。


「そんなことって、」

「お嬢様。」


ぴしりと諌められ少女は渋々、紅茶を飲み干して立ち上がった。
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