執事と共に謎解きを。
「夏樹、大丈夫?」

「あ、平気平気。で、そのヒジリ博士って疑われないの」

「……亡くなったのよ」

「噂では、イチジョウ医師に殺されたという話もありましたね」

「なんでだよ春樹」


春樹の代わりに恵理夜が答える。


「確証のない噂よ。けど、イチジョウ医師の研究は残念ながらいい形で《Dレポート》には貢献できなかったのよ。失敗の闇だけがつづられてるわ」

「うっわ、もうこの人クロじゃん」

「だったらわざわざ叔父様がみんなを呼び出したりしないでしょ。イチジョウ医師だけに話せばいいんだもの」

「それもそうか……。でもさ、レミコ様が一番不自然じゃないか。疑われる要素、ないじゃん」

「そうでもないわよ」


と恵理夜は春樹を見上げた。


「春樹の母親だから?」

「記録されている中で、今も生存しているのは、私とお嬢様だけだ。被験者の母親とあれば、十分に価値のあるものだろう」

「どーして」

「自分のデータとレポートを売りつければ莫大な富が手に入る」

「ふーん……」


わかったようなわからないような顔で夏樹は頷く。
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