執事と共に謎解きを。
「……今回の事件と、関係があるのでしょうか」

「このタイミングだもの。可能性は2つ」

「2つ、ですか」

「一つは、《Dレポート》の物的証拠として盗み出した」

「なるほど。《Dレポート》を流出させた際、それは本物だと認めさせるためですね」

「そう。それにあの薬は未認可医薬品だけど、私たちという臨床例がある。あの薬だけでも、価値はあるもの」

「もう一つは?」

「私たちを消したいから」

「……理由は」

「……わからないわ」

「では、私からも一つ」

「何?」

「イチジョウ医師です」

「先生が?」

「イチジョウ医師が、薬を盗み、新たな新薬の臨床例として私たちを利用している可能性が」

「それを、盗んだレポートに書き込もうってことね」

「恐らくは」


恵理夜はため息をついた。


「いずれにせよ、この事件に引きずり込まれているわね」

「ええ、おそらくもっとも中心的なところまで」


恵理夜は、目を伏せてぽつりと言う。


「命が、かかっちゃったわね」
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