執事と共に謎解きを。
「イチジョウ医師。夜分に恐れ入ります。実は……」
春樹は真っ先にイチジョウに内線を繋いでいた。
その様子を見つめながら、恵理夜はこの事件との関連を考えていた。
「このタイミングで薬がなくなる、無関係ではないわよね……」
春樹が、イチジョウとの内線を切った。
「どうだった」
「……代用の薬は、すぐに処方してくださるそうです」
「代用の薬?」
「いつもの薬は、処方したばかりで精製に時間がかかると」
「どれくらい」
「……短くても3日」
「長くて」
「だいたい1週間だそうです」
恵理夜の顔が、さっと青ざめる。
あの薬は二人の命を支えるのに大きく貢献しているものだ。
それがなければ、二人の免疫は失われる。
「予備は」
「注射薬を含めて5本、あります」
日に1本、2人で3日分はない。