執事と共に謎解きを。
「キレイだよねー」


掃除に飽きた男子生徒が呟く。


「あの子って、ちょーお金持ちのお嬢様なんでしょ?」

「金持ちってか極道って噂だぜ」

「知ってる知ってる。体育よく休んだりしてるのって腕に注射痕があるからなんだって」

「ヤクでもやってるのかな」

「ゴクドーなんだから当たり前なんだよ」


徐々に増え大きくなる囁きあい。

彼女は、その囁きの間を通ってごみを捨てた。


「住む世界ちがうよねー」


無邪気な好奇心から発せられる言葉。

彼女は思わず声を出す。



「別に、私はただの女子高生だから」



ただ、ポツリと言っただけの言葉だが、その声は思いのほかよく通った。

教室が一瞬静かになる。


「ゴミ、捨てて来ます。そのまま、帰るから」
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