執事と共に謎解きを。
「目的はなんだ」


春樹の手に収められたナイフが、夏樹に突きつけられた。


「ヤマザキ夫妻の命令でしょ」

「イチジョウ医師とかは疑わないの?」

「あの人は薬がない状況に便乗しただけよ。実行犯は、あくまで貴方だもの」

「パーフェクトだね」

「でも、夏樹の目的は何かしら」

「お嬢さんが欲しかったから」


春樹のナイフが夏樹の首元捉える。


「わわ、ホントだって。聞いてくれよ」

「相応の理由がなるのならな」

「聞けよ。俺の親父、ヒジリっていうんだ」


唐突な告白に、春樹に動揺が走った。


「親父が死ぬ前にレミコ様に仕えろって言ったわけ。そのあと死んじゃったから、遺言だと思って仕えることにしたの」


春樹は、夏樹が異母兄弟だというのを知らない。


「けど、レミコ様は厳しいしお前にご執心だしー、で、ついに嫌になって辞表出したの」

「受け取ってもらえなかったの?」

「そう。春樹を手に入れたら辞めさせてあげるって。流石の俺も絶望したわ」

「この間倒れたのは、疲労のせいだって訳ね」

「情けないでしょ?でも、流石に看病してくれたお嬢さんにはなびいたわ」


ふざけた言葉。けれど、それが嘘なのか真実なのか恵理夜の勘は全く働かなかった。


「俺の気持ちがわかる?お嬢さん」


挑むような目。恵理夜は焦った。
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