ある17歳における不明瞭な愛についての考察
「『ただ有斗が大切だ』って、前みたいに言えないや。
……有斗が大事なのと同じくらい、あたし、有斗の近くにいたい」
有斗に溶けだして、埋もれていく。
「ありとがいなきゃ、あたし、もうだめだもん……」
嫌いにならないで。
友達とか、
付き合ってるとか、
好きとか愛してるとか、
あの日のキスとか。
気にしてるのは、あたしの方。
有斗は、友達だったあたしを好きになってくれたけど、
きっともう、今のあたしは少し前のあたしとは違ってしまった。
「…ありとのこと、すき」
大切に思うひと。
大切に思ってもらいたいひと。
「すきって言いたいし、もっともっと言われたい」
相変わらずあたしの手に触れる体温から、本当はもう逃げ出したかった。
あたしの透明な気持ちはどこに行ってしまったんだろう。苦しくて、張り裂けそう。
だけど、この期に及んで。
同じくらいその手を離してほしくなんてなかった。
「……不純だね!」
押し込むように言い放って、手を引っ込める。
そしたら、思いの外簡単に外せてしまえた。