ある17歳における不明瞭な愛についての考察


外れて引っ込むあたしの手をじっと目で追って、そのまま有斗が口を開く。

鬼気迫るような、哀しげな。

吐き出すような、言葉。


「わけわかんねー…!」





一方的に手を離すことがそう簡単なことじゃなかったみたいだ、ってことだけは、あたしにはよくよくわかった。

有斗はあたしの手を探り当てようとする。あたしは反射的に引っ込める。


そして、有斗があたしの肘の少し上あたりを掴む。


すがりつくような荒々しさに、少し震えた。



これ以上触れられたら、押さえつけたモノがぐらぐらと揺れて、揺れて、揺れて、崩れてしまいそうで。

これ以上、友達だった頃の……有斗が好きになってくれたあたしから遠退いてしまうのは嫌なのに。



有斗が好きだから。



触れてほしいけど、触れてほしくない。





ちゆきは不純じゃねーし。
そう加えて、有斗の手の力が緩んだ。






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