ある17歳における不明瞭な愛についての考察
「好きな奴に好きって言われたいのって、だめなのか?」
だめじゃないけど
少なくとも「ありとが好きになってくれた友達のちゆき」は、そんなこと、言わなかったんだよ。
「もしそうなら俺、きっとすっげーだめな奴だわ」
遠くの方で聞こえる消防車のサイレンは、あたしへの警鐘。
有斗に傾いて、沈んでしまう。
「ちゆきを好きなの、だんだんデカくなってるし。好きだって言いたいし、言われたい」
───溢れて、零れてしまう。
「あたしだって同じだよっ!」
有斗があたしを大事にするから。
嬉しそうな顔で笑うから。
こんなにも、好きが溢れて
有斗との未来が欲しくなるのは
「ありとのせい、だしっ…!」