ある17歳における不明瞭な愛についての考察
有斗はいつでもあたしを愛してくれて、大切にしてくれて
これで好きにならないわけ、ないじゃないか。
こんなにも愛してくれるひとを愛さずにいられるわけ、ないじゃないか。
「…俺、すげー恥ずかしいこと言った気すんだけど」
うああっ!と変な声を上げて机に突っ伏しながら
くぐもった声の主はあたしの手を離さないまま、ふたつの手をその視線にとらえている。
その目にうつる手と手も、あたしに見えているように見えてるのかな。
───少なくともあたしには、すごくすごく綺麗に見えてる。
「……はずかしいやつめ」
急に恥ずかしくなって、茶化すようにあたしは呟く。
空いた方の手をぐーにして有斗の肩を叩けば、やっぱり有斗は「弱いし」って笑った。