あたしの俺様執事様。




この海はまえに一回
海斗と来たことがある。

あんときは人がいっぱいで
かんなさんもいたっけ…。

でも今は違う。
海には人が一人もいなくて
なんか寂しい感じだった。







二人で浜辺に腰かけた。
すると海斗の左手は
あたしの右手にのっかる。
その手は少し震えていた…。



「どうかした…?」


あたしはぼそぼそっと
問い掛ける。


「亮太、やっぱ思い出せないらしい。まあ、俺は全然平気なんだけどな…。また思い出つくりゃいいし。」



平気とかいっといて…
海斗の顔、1ミリだって
笑顔ないじゃんっ!!


―嘘つき。

海斗、前言ってたもん。
悩みがあるときはこの海を
ながめるって…。



「無理…してない?」


「してねぇ…」


「弱音はいていいんだよ?」


「俺、平気だから。」


「でも…「大丈夫だって言ってんだろ!!」」



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