あたしの俺様執事様。



海斗はあたしの言葉を
さえぎるように大声でどなる。
こんなに取り乱す海斗も
はじめて見た。

いつもは優しい海斗が
あたしと目もあわそうとは
しなかった。

あたしはその言葉に
涙目になる。


「ご…ごめん…」



「なんでお前が泣くんだよ…」



辛いのは海斗なのに…
あたしははげましてあげなきゃ
ならないのに。
本当にごめんなさい、海斗。







冷たい海風があたしたちの
体を冷やしてゆく。

あたしと海斗との間には
しばらくの沈黙がはしった。

あたしは、なにもできない
自分自身が悔しくて
静かに涙を流していた。





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